Albert Einstein の言葉です。
ニューヨーク大学夜間コースに通っていたとき、映画製作のあるクラスで、
コマーシャルのディレクターだった先生が最初にこう言いました。
「何を思いついても自分がオリジナルだと思うな。
今までに必ず誰かがやっているんだから」
ひぇ〜。厳しいお言葉です。
でも、本当にそうなのですよね・・・
オリジナルなものは、彗星のように、何年かにいっぺんしか現れない。
だからこそ、何かオリジナルなものを求めて、みんな頑張るんですね。
「クリエイティブ」というのにはどうやらポジティブな響きがあるようです。
独創的。オリジナル。革新的。
だから「クリエイティブ」になりたい人は、たくさんいます。
「自分にはクリエイティビティがない」と悩まれるクライアントも
たくさんいらっしゃいます。
その方にとっては「クリエイティブである」ということが
とても大切な価値を持っているものなんですね。
本当の意味での「クリエイティビティ」、特に芸術関係のものには、
持って生まれた才能ももちろん大きく関与しているのでしょうが、
日々の暮らしの中でのちょっとした「クリエイティビティ」は
私たちが「情報をどう受け取るか」そして「その情報をどう処理するか」
に関わっているようです。
その方法は、人によって全く違います。
よく聞かれる質問に、こんなものがあります。
「あなたは組み立て式家具を買ったときに、説明書を見ますか?
それともとりあえず組み立ててしまいますか?」
あの質問も、この点に関連しています。
ある人は説明書通りに部品と道具をばらし、並べ、
手順書を一読(あるいは熟読)してその通りに組み立てていかれるでしょう。
ある人は「こうなんじゃない?」と始めてしまい、
試行錯誤を繰り返しながら組み立てていかれるでしょう。
どちらも間違いではないですね。
あるのは「向き・不向き」と「得手・不得手」だけです。
自分の「向いてない」やり方をすると、ちょっと時間とストレスがかかります。
普段は自分がどちらに向いているかなんて、あまり意識しないで生活しています。
何となく、ではありますが、上記の例の場合、
「試行錯誤を繰り返しながら」組み立てていく方々の方が、
いろいろな場面で「クリエイティブだ」と言われることが多いと思います。
反対に「手順通りに組み立てていく」方々は、「クリエイティブになりたい」
とおっしゃる方が多いようです。
誰かに提示された通りにやっていくから、あまり「独創的」と思えないのかもしれません。
その一方で「手順通りに組み立てていく」方々の方がきっちりしていて
「試行錯誤を繰り返しながら」組み立てていく方々の方が
「いい加減」と思われることも多々あります。
「書いてあるんだから、ちゃんと読みなよ」ということですね。
もしみんなが試行錯誤型だったら、マニュアル作成担当の方は浮かばれません。
枠を大きく外れることだけが「クリエイティビティ」ではありません。
「部品をどの順番で並べれば間違いがないか」といった
与えられた枠の中でどれくらい効率的にその作業を行えるか
というところにも、その人の「色」を出すことができます。
また、それを人にどう伝えるか、という場面でも
その人の「味」を出すことができます。
「クリエイティブになれない」という前に
自分の情報の受け取り方・処理の仕方の方法を理解し
自分にとっての「クリエイティビティ」を考えてみるといいかもしれません。
もちろん、これは難しいです。
何故ならこのタイプの方は
「一般に与えられているクリエイティブの定義」をまず見てしまう傾向があるからです。
だから、私は「クリエイティブじゃない」。
・・・悪循環ですね。
まず「一般のクリエイティブの意味」をしっかり理解してみる。
そして次に「何故自分がクリエイティブになりたいのか」をしっかり考えてみる。
何となく。人に「変わったヤツだ」と言われたい。やったことがないことをやってみたい。
いろいろな理由を正直に考えます。
元来人は自分にないもの(あるいはないと思っているもの)を求めますから、
もしかしたらそれが理由かもしれません。
そして友達に聞いてみるのもいいかもしれません。
「私のどういうところを見てクリエイティブだと思う?」
恐らく自分では気づかなかったことを教えてもらえると思います。
それが分かると、自分でも少し新しいことに挑戦できるかもしれません。
そして考えます。
本当に「クリエイティブ」にならないと、いけませんか?
・・・でも「クリエイティビティ」も度が過ぎてしまうと、
突然「ヘンな人」になったり「迷惑な人」になってしまうので、
その辺りのバランス感覚が必要ですね。
そのぎりぎりの線(thin line)を見つけるのは、大切なことのようです。