James Joyceの言葉です。
有名な実験があります*。
被験者に目の前に両手を出してもらい、順番に刺激を与えます。
被験者には先に触られたと思う方の手を動かしてもらいます。
それだけの実験です。
被験者がそのまま両手を前に出した場合、
刺激時間が長くなればなるほど正確に回答するようです。
じゃあ、手を交差させたらどうか。
・・・刺激時間が短い場合、正解の割合が下がるそうです。
ところが。
机の下に両手を隠して同じ実験を行うと、
正解率が上昇するそうです。
面白いですね。
昔オードリーヘップバーンの「暗くなるまで待って」という映画がありましたね。
*北澤茂「脳のなかの時間」(「解き明かされる脳の不思議ー脳科学の未来」立花隆 クバプロ 2009)
背中に何か付いているのを取ろうとして鏡に映してみると、
右に行きたいのに左に行ったり、うまく距離がつかめなかったり、
そんなことがあります。
そういうときにはふと目を鏡から外して感覚で動かすと
取れたりします。
また、暗闇でモノを探しているとき、
目をつぶった方が壁にぶつからず見つけることができたりします。
・・・皆さんはそういうご経験、ありませんか?
先にご紹介した実験ですが、先天的に目の見えない方で実験を行うと、
混乱せずちゃんと正解を出せるそうです。
「見える」って、何なのでしょう。
目から入ってくる信号は脳でいろいろとプロセスされて、
私たちは空間や時間を計ります。
でもそれはなかなか単純はプロセスではないようで、
その過程で、視覚的な刺激は強い影響を与えるそうです。
それでも暗闇では、目はあまり役に立ちません。
そんなときは、視覚以外の感覚や記憶を駆使するわけですが、
それだけでなく「視覚がジャマになることもある」というのも面白いものですね。
でも、あるんですね、そこにちゃんと。
探しているものも、手にしたいものも。
見えなくても、心配しない。
焦るな、とはいいません。焦る。きちんと焦る。
だから一番いい方法を見つける。
そうしたら、きっとつかめます。