Don Rickles の言葉です。
カウンセリングもそうですが、
人に自分のことを話すのは、大層難儀であることがあります。
話すのが恥ずかしい、と思ったり
どう話していいか分からない、と思ったり
話したはいいが、言葉が一人歩きしてしまって焦ったり
それはそれは大変です。
皆さんはご自分のこと、話すのはお得意ですか?
私はどうやら、あまり得意ではないようです。
私たちはコミュニケーションをとる際に
主に「言葉」という媒体を(手話も含め)とります。
もちろん、目配せや小さな仕草で伝わるものもありますが、
それは非常に限られたものになりますね。
そこでは「言葉にする」段階と「言葉を受け取る」段階があり、
つまり翻訳機みたいなものを2回通ってしまうんですね。
そこで私たちは、なるべく正確に受け取るために、「言葉」以外のヒント、
すなわち身振り手振りや、声の調子なども受け取って
全体的に情報を受け取っています。
それに加えて今はいろんな「話し方」があります。
電話。メール。チャット。掲示板。ビデオ電話なんてのもあって、
サンダーバードの腕時計型通信機が普及するのも、
そう先の話ではないかもしれません。
ただ、ちょっと考えるべきこともあります。
顔が見えないと、「表情」というヒントがなくなります。
確かに絵文字や大文字の使用などで違った「表情」は見えますが、
顔は見えない。
即時性のないメールや掲示板だと、
埋めるべき余白はさらに大きなものになります。
「disinhibitation effect」という言葉があります。
Dr. Sulerなどがよく論文を書いておられます。
簡単に言うと、人は「オンライン」のコミュニケーションにおいては
人は普段は言わないようなことを言ったり、しないようなことをしたりする。
そういう効果のことです。
確かに、普段は温和なのにメールでは別人のように激して書く人。
普段はシャイなのに、チャットだとやけに大胆な人。
「true self」、「本当の自分」とでも言う意味でしょうか、
それは一体どれなんだ、一体全体同じ人なんだろうか、
と疑いたくなるような変貌をとげる人もいます。
その理由や現象についてはいろいろとリサーチが行われています。
例えば顔が見えないこと(anonymity)や、相手との物理的距離や時間的なズレなどが
その要因の一部として考えられています。
私たちも日常、いろんなレベルでこういった状況に遭遇することがある、
というのは留意すべきことかもしれません。
対面でないが故の、相手側との距離。
オンラインでは失われる様々な「cue」=ヒント。
発信する方も、受信する方も、
いつもとはちょっと違った心遣いが必要かもしれません。