Oscar Wilde の言葉です。
よくしゃべる人って、いますよね。
反対に、あんまりしゃべらない人も、います。
よくコメディー俳優さんなんかに、実際の人物はすごくシャイでインタビューなんかもおとなしいクセに、
舞台に立つとべ〜らべら話せる人もいますね。「役」に入ると饒舌になれるんですね。不思議です。
ユングの言ってる「The Persona」にもちょっと似たところがあります。
人はそれぞれが置かれたシチュエーションにあわせて機能することができる、と。
父だったり、部長だったり、友達だったり。それが本当の自分じゃなかったとしても、ですね。
カウンセリングでは、時に、自分のことを話すのは、とても難しいです。
特に奥深いこゝろを暴露するのは、エネルギーを使います。
だからカウンセラーたちはこれまでいろんなことを考えてきました。
Gestalt Therapy(げしゅたると、と読みます)というカウンセリング方法があります。
ドイツで生まれたFrederick (Fritz) Perlsという人が始めました。
Gestaltというのはドイツ語で「形」という意味らしいですが、
心理学上の意味は「The whole is greater than the sum of its parts」です。
「全体は部分の和より大きい」。1+1=3!みたいな意味でしょうか?
心理学は人のこゝろや行動、経験を分析することから始まりましたが、
「いや、人って、分解できないじゃない?全体で考えようよ」という流れがあり、
Gestalt Therapyもそのひとつです。
この考え方は、特に「here and now」にこだわります。
小さいときの親との関係とか、これからのこととかも大切だけど、
今この瞬間のあなたは、どうですか?
Gestalt Therapyは時にconfrontational(「対立的」というのでしょうか。真っ向からチャレンジする感じ)なので
その他の要因を考え、ケースによって慎重に使われます。
私が思うに、決してconfrontationalではないのですが
クライアントは「今」の自分を表現することを求められるので、そういう風に感じてしまうのでしょうね。
Gestalt Therapyの中で有名な手法があります。「The Empty-Chair Technique」です。
簡単に言いますと、クライアントの前に、文字通り空のイス、誰も座っていないイスを置きます。
そこに、今自分が一番話したい人を座らせます・・・もちろん、頭の中で、です。
そして、話すんです。言いたいことを全部。
何だかちょっと子供だましのように思うかもしれません。
でも、考えてみてください。
仕事や人間関係でむしゃくしゃしているとき、
シャワーの中や車の中で、知らずにその人に向かっての文句をリハーサルしていることってありませんか?
好きな人になかなか話せないとき、
一人で考えているときだと恥ずかしいくらい饒舌に口説いているときはありませんか?(笑)
で、結構それですっきりしちゃって、ご本人たちに会うとまた何も言えなかった・・・。
それ、まさしく自分で「The Empty-Chair Technique」を使っているんです。
カウンセラーはそれを、安全で、本当に自分になれる場所を提供して行います。
相手が実際にはいないから、謝ったり、卑屈になったり、怖がったりする必要はない。
その状態がとっても大事なんです。だから自分を出せる。自分の本当に感情に触れられる。
そして、相手に言いたいことを言うだけではなく、自分が言ってることに驚いたりします。
えっ。私こんなこと思ってたんだ。あ、オレ、今すごく意味分かんないこと言った。
あ〜、直接言わなくて、よかった〜〜〜。
親しき仲にも演技あり。よかったですね、リハーサルしてみて(笑)。
そうやって自分の感情を理解し、折り合いを付けていくんですね。
もちろん、これがすべての解ではありません。
前述のように、この方法が有効になるには、他の要素も必要です。
でも、今度あまりにムカムカしたりうずうずしたりしたら、
自分でその感情をちょっと口に出してみると新しい発見があるかもしれません。