きちんと感謝することによって、その人の素晴らしさを自分のものにすることができる(By appreciation, we make excellence in others our own property.)

Voltaireの言葉です。

何回かご登場いただいている仙厓さんに、こんな逸話があります。
仙厓さんを尊敬してやまない素麺屋の素久さん、
仕事熱心でまっすぐな性格。
仙厓さんの好物の牡丹餅を作ったのですが
温かいうちに食べていただこうと、
粉だらけの仕事着でとりもなおさず駆けつけました。
迎えた仙厓さん、もちろん喜んだのですが、奥に引っ込み、
わざわざ法衣に着替えて、恭しく丁重に受け取ったそうです。
いぶかる素久さんに仙厓さん、
「あんたが仕事着ば着て粉だらけで来なざったけん、
あたきも商売道具の法衣ば着ておうけせにゃ、罰があたる。」*

*石村善右 「仙厓百話」(石風社)より

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目を閉じて、見ろ。(Shut your eyes and see.)

James Joyceの言葉です。

有名な実験があります*。
被験者に目の前に両手を出してもらい、順番に刺激を与えます。
被験者には先に触られたと思う方の手を動かしてもらいます。
それだけの実験です。
被験者がそのまま両手を前に出した場合、
刺激時間が長くなればなるほど正確に回答するようです。
じゃあ、手を交差させたらどうか。
・・・刺激時間が短い場合、正解の割合が下がるそうです。

ところが。

机の下に両手を隠して同じ実験を行うと、
正解率が上昇するそうです。
面白いですね。

昔オードリーヘップバーンの「暗くなるまで待って」という映画がありましたね。

*北澤茂「脳のなかの時間」(「解き明かされる脳の不思議ー脳科学の未来」立花隆 クバプロ 2009)

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おバカなお利口になるよりも、お利口なおバカになれ。(Better a witty fool than a foolish wit.)

シェイクスピアの言葉です。
この言葉は有名な「十二夜」に出てくるもので、
きちんとした訳もあるのですが、
私はこんな感じに受け取りました。

なんだか、私がいつもなりたいと思っていた「礼儀正しい不良」や
フットワークの軽い小太り」に通じるものを勝手に感じ、
ぴくん、と反応してしまったのだと思います。

昔「刑事コロンボ」という番組がありました。
コロンボは万年警部補。よれよれのコートにポンコツ車、
よぼよぼの犬を連れたコロンボを、誰もキレ者のデカとは思いません。
その彼が後半眼光鋭く犯人を追いつめるのを、
私は毎週小気味良い思いで観ていました。

・・・もちろん、私はコロンボを「おバカ」だと言っているのではありません。

 

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人は自分を磨けば磨くほど、他人の中に特別なものを見いだせる。凡人には違いなど分からないのだ。(The greater intellect one has, the more originality one finds in men. Ordinary persons find no difference between men.)

再びBlaise Pascal、パスカルの言葉です。
ダバダ〜 ダバダ〜 ふ〜。
昔「違いが分かる男の・・・」というコマーシャルがありましたが
そんな感じでしょうか。

私は常に広く浅くものごとを知りたいタイプなので
じっくり深める、ということがあまり得意ではありません。
「分かった!」と思った瞬間が、
これまで、何に関してもあまりなかったのだと思います。

それでも、浅はかなりに掘り進めていったものも少々あります。
そして時折「おお」と思う瞬間はあります。
そんなすごいこと、あの人はしてるんだ。
こんな大変なこと、通り過ぎて今のあの人がいるんだ。
自分ではできないことをやっている人というのは、本当に羨ましい。
尊敬します。そして、ただただ羨ましいと私は思ってしまいます。

 

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